ビジョン&ミッション
1980年代以降、医薬品開発は主に、ベンチャーキャピタル(VC)の資金を受けたバイオテック企業が研究開発を進め、既存の製薬企業にライセンス供与して流通・販売につなげるモデルによって牽引されてきました。このモデルは、年金基金や生命保険会社をはじめとする機関投資家が供給する、高コストかつ高リスクの資本を前提として成り立っています。
この仕組みは、医療イノベーションの創出に大きく貢献してきた一方で、米国では薬価の急速な上昇を招いてきました。2000年代初頭以降、上市時薬価は約4年ごとに倍増しており、現在、米国の薬価水準は日本の約3倍に達しています。
こうしたモデルは、特に超希少疾患の領域において限界を迎えつつあります。米国で患者数が年間300人未満の発症頻度とされる約9,500の超希少疾患では、高い資本コストを前提とする従来型の投資回収モデルでは、投資継続のために患者1人あたり数百万米ドル規模の価格設定が必要となるケースも生じています。
そのため今後は、科学・技術のイノベーションに加え、イノベーションを実現するための組織・資金調達の仕組みそのものの革新が不可欠です。超希少疾患治療薬の開発に向けた新たな非営利型ビジネスモデルは、米国や欧州をはじめ各国で立ち上がりつつありますが、日本ではまだ十分に確立されていません。その中で、日本では「ドラッグ・ロス」が重要な政策課題となっています。
一般社団法人日本希少疾患研究基金(Japan Foundation for Rare Disease Research :JFRDR)は、現在および将来のドラッグ・ロスに取り組むために設立された非営利組織です。JFRDRは、政府が支援する助成金などの低コスト資本を活用することで、従来のモデルでは日本の患者さんに届かなかった治療薬を、日本の社会保障制度の持続可能性にも配慮した形で提供することを目指します。
JFRDRは、日本のバイオ医薬品エコシステムにおける重要な変革の担い手となることを目指しています。具体的には、患者団体の活性化と専門性向上の支援、希少疾患とともに生きる現実に関する社会的理解の促進、そして支援プロジェクトを通じたトランスレーショナル研究基盤およびCMCインフラの整備への貢献を進めていきます。これらの基盤は、非営利の取り組みだけでなく、商業バイオファーマにとっても活用可能な社会的資産となることが期待されます。
また、JFRDRは日本の患者さんのために活動するだけでなく、研究開発(R&D)バリューチェーン全体にわたり、同様の非営利組織との国際的な連携を推進するプレーヤーとなることを志しています。最終的には、超希少疾患治療薬の開発にとどまらず、世界中の患者さんが、居住地にかかわらず必要な治療へアクセスできる環境の実現を目指します。
JFRDRは2025年12月下旬に法人設立を完了し、CEOも選任済みです。現在は、Recordati SpAからのシード資金に加え、十分な規模の政府支援型助成金の確保を進めており、それが整い次第、小規模な専門チームを組成し、事業を開始する予定です。

